秋田近代史研究会

秋田県の近現代史を考える歴史研究団体です。

史料探索の顛末 『農村青少年人口の構成分布に関する調査』(秋田県職業課、1940年刊) (『青少年人口の動態と労働事情に関する調査資料』2012年、クレス出版)

「農村青少年人口の構成分布に関する調査」をご存じだろうか。これは県職業課が 1938
年7月に実施した鹿角郡南秋田郡雄勝郡3郡全町村の 12 歳以上 25 歳未満全てを対
象とした青少年動態調査である。この史料にたどり着くまでの経緯を述べたい。
それは吉田裕著『日本の軍隊』(岩波新書)から始まった。この中で「農村部の青年に
とって、職業軍人としての下士官は重要な就職先の一つ」(193 頁)とあり、出典として
上記史料とこれを分析した科研費研究成果報告書(2000 年)が示されてあった。報告書
を見たいと思ったがネット検索や県立図書館のレファレンスサービスでも不明であった。
報告書はあきらめ関連する項目等ネット検索の結果、この史料が既に出版されている資
料集の中に収められている事を発見。しかし高額なため手が出ない。県内公立図書館を
検索したが蔵書は無い。半分あきらめつつ検索しているうちに大学図書館の本を探すサ
イト(CiNii)に入り込んでいた。そこで県内大学では日赤秋田看護大学図書館にのみあ
ることを知った。そのうち閲覧しようと時が経ったが相互貸借サービスの制度に気づき、
大曲図書館に申込、借用できた。調べ始めてから1カ月半たっていた。
この間本会会員のご家族の支援も得ることができ、人間関係がいろいろな場所でつな
がっていることを実感した。また居ながらにして史料探索ができるネット時代の便利さ
も実感した。いずれこの史料を分析した科研費報告書にも何とかたどり着きたいもので
ある。なお史料原本は資料集解説によると秋田大学附属図書館蔵とのこと、灯台下暗し
であった。史料の内容については今後紹介したい。

(荒川肇)